ゴルフ場という天国で心穏やかなバイトが待っていた─ASDにもやさしい作業に仕事の概念を書き換えられた話

伴走パパブログ

まさかゴルフ場で働くなんて

千葉県袖ケ浦市。毎年、女子プロゴルフのツアーが開催される名門コース。
そんな場所で、まさか自分がバイトすることになるなんて、想像すらしていなかった。ASDの息子が経験した単発バイトを自分でもやってみるようになってから、いろんな場所へ行ったが、その中でも特段気が引き締まる。

午後2時、最終組のお客さんの後を追うように、静かに始まる作業。

今日は私ともう一人だけ。服装に「軽装不可」とあったので、わざわざセカンドストリートで長袖ポロシャツまで買ってきた。けれど、もう一人の50代男性は上下ジャージ。

ちょっと拍子抜け。でも、これもバイトあるあるだ。

目土作業。はじめて聞いた、その名前

ディポット。クラブで芝を削った跡。
そこに緑色の土を撒いて、足でそっと慣らす──それが「目土(めつち)」作業。
バケツ3杯分の目土をカートに積んで、布袋に入れ、Z字型に歩きながらコースを埋めていく。

インとアウトに分かれて、一人で9ホール。
私はイン担当。説明を受けたら、そこからはひとりきり。誰からも命令されることはない。

芝を見つめながら、ここはセカンドショットかな?と想像してみたり、ジグザグに進んでカートをリモコンで呼び寄せたり──
少年時代のラジコン遊びを思い出して、ちょっと楽しい気分になった。

美しい景色、やさしい時間、誰にも急かされない作業

結局、今日は6ホールで終了。
「丁寧にやっていただいたと思いますよ」
そう声をかけてくれた従業員さんの言葉に、ちょっと胸があたたかくなった。

これほどまでに、自分に向いていると感じた仕事は久しぶりかもしれない。
誰にもせかされず、美しい自然の中で、黙々と直していく作業。ASDの人にとって、まさに理想に近い環境だと思う。

ただし、決定的な課題もある。

この仕事、都会にはまずない。
アクセスはほぼ車限定。駅からのバスもない。
時給も高くはない(1,085円 × 3時間=3,255円)。

でも──
長男アツシが住むグループホームからは近い。
この距離感なら、彼にとっても選択肢のひとつになるかもしれない。

結び

「仕事って、こんなに静かで穏やかでもいいんだ」
そう思わせてくれたゴルフ場での目土作業。
ASDの人にとって「働くって、こういうことでもいいんだ」という気づきに、きっとなるだろう。
近くにこんな環境があれば…そう思わずにはいられなかった。

作業に必要な能力

評価項目       点数    コメント
マルチタスク対応 ★☆☆☆☆(1)やることは一つ。Z型に歩き、目土を撒くだけ。
フレキシブル対応 ★☆☆☆☆(1)ペースは完全に自分次第。干渉されない。
感覚過敏への配慮 ★★☆☆☆(2)屋外で快適だが、夏はやはり暑い。
コミュニケーション力 ★☆☆☆☆(1)開始時の説明以外、誰とも話さない。
体力・精神力   ★★☆☆☆(2)歩く距離はあるが、芝生で負担は少なめ。

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