僕は落ちこぼれだったのにASDの息子は「一度も間違えなかった」─単純作業でも障害以前の向き不向きはある【5つめのバイト】

伴走パパブログ

最初の宅配センターのバイトの後も、違うところで宅配センターのバイトをしました。2回目の現場、B宅配センターは市川市の湾岸沿い。駅から歩いてたった2分の場所にありました。駅前で目に入るのはほぼ物流センター。まるで「物流の街」にぽつんと降り立ったような、ちょっと不思議な場所だった。

今回任されたのは「流し」と呼ばれるポジション。
カゴ台車から荷物を取り出して、ベルトコンベアーに“流す”だけ。
「なんだ、これなら余裕そうじゃん」──最初はそう思っていた。
でも、すぐにその考えは甘かったと気づく。

この日扱っていたのは、外資系の大手通販とエンタメ企業の荷物だけ。
特にエンタメ系の荷物は置き方のルールが厳しく決まっていて、それを瞬時に見分けて流さないといけない。
……なんだけど、その説明、ほとんど無かった。

ベルトコンベアーのスキャナーは調子が悪くて、置き方を間違えると止まる。そして、止まるたびに、他の人の手も止まる。
正直に言うと、何度も作業を止めてしまった半分は、たぶん私のミスだった。

時給1,100円。勤務時間は3時間半。
でも実際に“ちゃんと働いた”と感じられる時間は、せいぜい1時間くらい。
「まあ、こういう日もあるよね」なんて思っていたのは……もしかしたら私だけかもしれない。
故障の修正をしていたSE(システムエンジニア)の男性は、かなり苛立っていた。無理もない。誰かのミスで作業が止まるのは、やっぱりストレスになる。

その後、この話を、同じ場所・同じ作業を経験したASDの長男にしてみた。
「僕も最初、間違えたよ」って言ってくれると思ってた。
でも返ってきたのは、まさかのひと言だった。
「僕は空間認識が得意だから、一度も間違えたことないよ。」
……正直、言葉を失った。

“空間認識能力”──そんな特性が、作業の正確さに直結していること。
それが、実際に“仕事として評価される力”になっていること。
同じ作業。
同じ場所。
なのに、こんなにも違うなんて──。
「このバイト先にとって、必要とされているのは自分ではなく、長男のほうだ」
そんなふうに、ちょっとだけ切なく、でもどこか嬉しくもあった。

適性って、あるんだな。
得るものが、あまりにも多かった一日。
次回は、「仕分け作業の中で一番きつい」と噂の“引き込み”に挑戦予定。
怖いけど、でも……なんだかワクワクしてる。
このときは、まだ知らなかった。
その現場が、さらに予想を超える世界だったなんて。

今回の作業に求められる能力
項目                 星評価    内容コメント
マルチタスク    ★★★☆☆   作業は単一に見えて、荷物ごとの“置き方ルールを瞬時に判断する必要    あり。油断できない。 
フレキシブル ★★☆☆☆ 故障やイレギュラー対応があるので、即時判断や修正が求められる場面あり。 
感覚過敏   ★★☆☆☆ ベルトコンベアーの振動音に敏感な人は注意が必要。 
コミュニケーション  ★★☆☆☆  説明が少なく、周囲の空気を読む力が多少必要。 
体力・精神力 ★★★☆☆ 体力的には軽めだが、精神的に「止めてはいけない」プレッシャーあり。

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